残暑の表銀座、槍穂縦走 後編

平成12年8月24日〜29日


 27日7:00槍ヶ岳山荘出発。飛騨乗越を経て、中岳の雪渓で水が飲めると思ったのだが、末端からぽたぽたたれているだけ。仕方無しに雪のきれいなところをすくって水筒に詰める。
 9:00南岳小屋到着。これで槍ヶ岳ともお別れか?
南岳
南岳より槍ヶ岳
飛騨泣き 飛騨泣き2
大キレットの核心部、飛騨泣き
10:00遂に大キレット突入開始。20分ちょっとでキレットの底に降り立つ。
 最初の難関、長谷川ピーク。最初のトラバースで足が滑り、鎖で宙づり状態。泣きそうである。その後、両側が切れ落ちている岩を四つん這いになって乗り越す。荷物の重さでほとんど逆立ち状態。滝谷の垂壁が否応なしに目に飛び込む。完全に戦意喪失状態。おまけにせまい稜線から垂直に下りるところを見逃してしまい、岩場の末端に着いてしまった。完全に行き詰まった。下から対行者がもっと手前だと叫んでいる。仕方ないから、狭いバンドをへつって何とか下り口までたどり着いた。
 とりあえず何とかA沢のコルまで下り着いたのだが、もうイヤだ。ここで大休止。するとカメラマンが北穂池にテントを置いてからA沢を詰めてきて到着。「写真撮りますからみんなで長谷川ピーク行きましょう!」もちろんお断りしたのは言うまでもない。
 気を取り直して、今度は大キレット最大の難所「飛騨泣き」に向かう。崩れやすい崖をひたすら登って、遂に「飛騨泣き」の大岩のトラバースまで来た。写真左は大岩から次の大岩へ飛び石づたいに飛び移るところ。股間からは数百メートル下の本谷が見える。右はこの直後の一枚岩のトラバース。AyuAyuが珍しくまじめな顔をしている。工藤が狭いテラスから命がけで撮った物である(本人談)。でも正直の所長谷川ピークの方が怖かった。
 飛騨泣きを越えてほっとしたのもつかの間、今度は夕立である。30分以上の大休止の後、濡れて滑る岩を北穂までダッシュする。
 14:00、遂に北穂山荘に着いた。今日はこの辺で許してやろう。
 
北穂のテント指定地は小屋から10分程下った南陵テラスにある。ここからは涸沢カールや奥穂、前穂の眺望が素晴らしい。前穂と奥穂
南陵テラスより前穂と奥穂
28日7:00北穂山荘のテント場発。大キレットを通過した後は涸沢岳までの岩場も全然問題ない。軽快にドームを下り、ツルムの直上を通過。ふと見下ろすと滝谷の垂壁が切れ落ちている。すごい高度感。でも今日はけっこう快感。涸沢槍を越え、チムニーをはい上がると涸沢岳山頂である。
 9:05 穂高岳山荘到着。30分以上遅れて工藤到着。どうやら高山病みたいだ。仕方ないので、薬とキューピーをもらって飲ませる。10:10出発。
 10:35奥穂高岳到着。工藤もキューピーが効いて調子よくなったようだ。
奥穂山頂
奥穂山頂
 11:05奥穂出発。荷物も軽くなってきて吊り尾根を軽快に歩く。途中すれ違った人々の間では昨晩岳沢のテント場で出た熊の話題で持ちきりだった。岳沢は今日のの目的地なのだが・・・。紀美子平12:05〜12:20。前穂山頂12:40到着。
 15:40岳沢到着。いよいよ明日上高地まで約2時間の道を下るとこの縦走も終わりである。工藤ととりあえず無事完走を祝ってビールで乾杯。ずっと3000mの稜線を歩いてきたせいか、森の中の岳沢は空気が濃くて気持ちよい気がする。

吊り尾根より
吊り尾根より上高地を見下ろす。
前穂山頂
前穂山頂
 29日、穂高を見上げながらゆっくり身支度をし、9:30岳沢を後にする。
 11:00 遂に5日間の縦走は上高地の喧噪とともに終わったのであった。
上高地
上高地河童橋


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